Gruau
1949 秋冬 オートクチュール コレクション、「ミリュー デュ スィエクル」ライン
このアイボリーのシルクサテンを使用したイブニングドレスは、モチーフや色づかいが無く、シンプルで繊細なデザイン。クリスチャン・ディオールの友人で協力者でもあるイラストレーター、ルネ・グリュオーにちなんで名づけられました。
ファッションデザイナーとしてキャリアをスタートさせたルネ・グリュオーは、クリスチャン・ディオールの作品を見事に捉え、イラストとして再現してマスコミへ広めました。クリスチャン・ディオールは、彼のことを、『Je suis couturier (Talking About Fashion)』でこう記しています。「グリュオーやエリクソンがドレスを描いた後に、自分のドレスに新たな発見があったこともあります。彼らは、私がさして重要とは思っていなかったディテールを強調したのです」
1947 秋冬 オートクチュール コレクション「コロル」ラインの「フロランス」ドレス
1950 秋冬 オートクチュール コレクション「オブリーク」ラインの「ペルネル」コート
ドレープが入った斜めのボタン留めのビスチェをあしらった「グリュオー」ドレス。その下には、片側に地面まで達するひだを施したアシンメトリックなロングスカートが広がっています。丸みを帯びた曲線を描くこのデザインは、ルネ・グリュオーの誌的なドローイングを表現したもの。彼のドローイングでは、シンプルなラインとごく一部の単色に限定されたカラーパレットを使い、表現されているものを超えて何かを感じさせるものでした。
「グリュオー」ドレスのイラストは、1949年10月、『フェミナ』誌に向けても、ルネ・グリュオー本人によって描かれました。
1947年、ルネ・グリュオーは広告の世界に転身。クリスチャン・ディオールをはじめとするパリの多くのラグジュアリーブランドと働きました。1947年に発表された、初のフレグランス「ミス ディオール」。クリスチャン・ディオールが妹のカトリーヌへのオマージュを込めて名付けたフレグランスの初回広告デザインも、グリュオーによるもの。
© Laziz Hamani ; © Association Willy Maywald/ADAGP, Paris 2022 ; © Société René Gruau, www.renegruau.com